現代都市政策研究会2016年9月例会感想
( 2016年9月例会感想 ) 「都市をたたむ」を聞いて T. S. 今回は首都大学東京の饗庭先生から「都市をたたむ~人口減少時代の都市計画はどのようにあるべきか、具体的な事例を通じて考える~」についてのお話を伺いました。印象的だったのが、人口が減少していくことは変わらないので、これからの時代、自治体に求められるのは地域間での人の奪い合いではなく、人口減少に適応した政策を考え、マネージメントしていくことであるという先生のお言葉でした。 私は大学時代に欧州の比較都市史研究を専門とする教授の下で学んでいたことがあり、その頃に、コンパクトシティ政策等についても少しかじったことがあったので、今回のお話は大変興味深いものでした。例えば、ヨーロッパの都市(例えば、ドイツやフランス、イタリア等)の場合、中世時代の都市形成の特徴として市民が暮らす巨大な都市の周りに外敵から身を守るための、あるいは内部統治のための街壁を形成した結果として、現代のヨーロッパ都市は街壁を環状線へと変貌させ、郊外や他の都市と交通網を結んだ、そもそもの都市形成がコンパクトシティに馴染みやすい発展を遂げたと学んだことがあります。 他方で、今回の先生のお話では、日本における都市空間の拡大・縮小の特徴として、スプロールからスポンジへの変容があげられるというものがありました。日本は、戦後の農地解放によって中規模土地所有者たちの個々の意思決定によって土地が切売りされた結果として、ぽこぽこと虫食い的に土地が切開かれて拡大(スプロール)していき、逆に人口が減少する際には、空き家が点在し始め、スポンジ状に都市が小さくなっていくというものです。これらの話を併せると、日本の都市空間の拡大・縮小の特徴は、今後の人口減少時代において、大陸の先進国と同じには語ることができない、特有の難しさがあるのではないかと感じさせられました。 また、先生が実際に関わった事例として国立市谷保の空き家のお話がありました。大きい家で借り手が見つからず、そのままになってしまっていた家をいかに活用するかという事例で、大家さんや地域住民に受け入れてもらうために、建築士と大学の先生が学生や地域住民を交えた検討を行い。シェアハウスとしてできるだけ多くの人々で費用分散を図るというものでした。ポイントはあえて行政や民間のディベロッパー等を利用し