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現代都市政策研究会2020年12月例会感想

        ( 株)大沢ガーデン の 更なる発展を願って!        K.  S.   12 月例会の発表者である石崎会員は、三鷹市内に拠点を置く会社の代表取締役でもある。同会員の報告を聞くに当たり、何故に身分の安定した 武蔵野市役所 を早期退職して(株)大沢ガーデンを設立したのか、何故に給与を支給される立場から給与を支給する立場へと正反対の立場に身を転じたのかについて興味を抱いた。 報告を聞く前は、職場内の人間関係のもつれ、仕事上の行き詰まりに起因するものと思っていた。報告を聞いた結果、①予め計画していた人生設計に基づくものであったこと、②地域を支える地場産業を自分の手で作りたかったとのことである。要は、武蔵野市役所在職中から「地域」、「緑」と関わる構想を描いていたものである。 同社の企業理念には、石崎会員の個人的哲学とも言える「地域に立脚する」との視点が反映されている。同会員の説明によると、(株)大沢ガーデンの企業理念は単なる植木屋になるのではなく、「地域の緑を確保する」ことにより、①地域の美しい景観を作る、②地域を支えるとともに、地域との共存共栄を目指している。石崎会員のライフワークであるコミュニティという視点に立脚した理念と言える。  公務員から企業経営者への転身により未経験なことに直面する。給与を支給する立場への転身は社員に対する重い責任を負う。給与の遅配等は、社員の生活の不安定化、経営者への不信感を生み出すことにつながる。ここに経営者としての苦悩が隠されている。この苦悩は事業を営む限り付き纏うものである。  石崎会員にこの場を借りてお願いしたい。今後とも会社理念の実現に尽力をいただくとともに、 10 年後には会社設立 20 周年を経過した(株)大沢ガーデンの事業成果について今回同様の発表をしていただくことである。最後になりますが、都市研の一会員として 事業の 更なる発展を期待します。 (以 上)

現代都市政策研究会2020年11月例会感想

  「心の総有」の可能性                                      J.H. 講師の野口さんは絶好調であった。本人談で3回目という都市研講師で、これまで以上に楽しそうに語られた背景には、野口さんのこれまでの各地での実践があることが伝わってきた。お話しの中で出てくる固有名詞や異論・反論は、野口さんが積み重ねてこられた議論の成果でありながら、必ずオチがあり、聴衆の爆笑を何度も誘った話術は時間の経過を忘れさせるものであった。 図らずもこの日、何十年ぶりという参加者を含めた久々の 15 名もの参加があったことは、コロナ時代のリアル開催の貴重さを思い起こすものであった。 とはいえ、話しの内容は大変高度かつアクチュアルなものであった。かつての社会主義をかかげる国が推し進めた国有化でもなく、単なる共有とも異なる現代総有という考え方に意義がある。今年、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が制定されたものも、全国的に所有者不明土地が増加し、その処分が課題となっていることの現れである。空き家問題の背景にも、相続放棄等による所有者不在物件の存在がある。不在者財産管理人という制度もあるが、活用するには膨大な時間とコストがかかる。固定資産税も払っていないような物件であれば、所有権をなくしてもいいと思うのだが、引き取り手がないのが実態のようである。 ここで求められるのが、現代総有、より一般的にはコモンズの考え方である。平たくいえば、利用するみんなの物という考え方である。所有から利用へと言われるシェアエコノミー時代には、利用者の責任が問われてもいいと思う。物件の適正管理の責任を利用者に委ねることだ。さらには、みんなの物という曖昧さをどのように克服するか?ここは少しでも利用した人や利用したい人が責任を分担する仕組みがあるといいと思う。責任を押し付けあうのではなく、分かち合う文化を創造することが野口さんの言う「心の総有」の可能性だと思った。野口さんも関わっている現代総有研究所(下記サイト)の活動をフォローしていきたい。 http://www.soyuken.jpn.org/index.html