現代都市政策研究会2024年2月例会感想

          市民の納得とはどういうことかを実例で紹介

                                                                                                       H.        S.

いつも都市研例会参加者は10人前後ですが、3月3日の大石田さんの講演には20数人もの参加者がありました。経済学部での教え子のほか法学部OBも参加して大石田さんの人徳によるものだと感心しました。

 テーマは「自治体と職員~市民の納得と対立と和解・融和、協働~」でした。サブタイトルにあるように、市民の納得とはどういうことかを実例をたくさん紹介してくれました。若手にもただ相手の言っていることを聞くのが市民の納得とはちがうことが実感できたと思います。

 すごいと思ったのが⑩行政学者とその配偶者の事例です。これもベースは市民の納得はどう得られるかをいつも考えているからこそできた対応だと思いました。

市長の知り合いの専門家(学者)がクレームをつけてくる。部下は理屈で突破され専門家が大石田さんのところまで来た。その苦情を受けるなかで、「(そのクレームに)対応することはできます。私の責任でやりますよ。けれども、それであなたはよいのですか。そんなルールを曲げる自治体で」と逆に問い返して、専門家を納得させました。個別の事例で条例や規則を深堀していけばどこかに決めていないことや矛盾がでてくる。それを運用で適切に判断していくのが自治体職員。そしてそこにこそ自治体の仕事のだいご味があるというのが本当に伝わりました。

私だったら市長の知り合いというだけでどうするか迷ってしまいます。一貫して市民のためを考えている大石田さんだからこそ会話のなかでの問い返しができたのだと思いました。

制度の不備があって運用に限界があれば国に声をあげて改正を求める。そのことも自治体だから正しいという理屈を通すのではなくて、現場の実態を伝え国にも制度の矛盾を理解してもらうという「実」のある考え方です。これも職員の生き方です。特に若手の方に沁みたのではないでしょうか。

質疑のなかで、大曲さんが「大原光憲教授が「多摩自治体に日本の未来をかける」と言っていたが、大石田さんの生き方を聞いてそれをやっていると思った」と言っていましたが、私も大石田さんは恩師の意を実際に体現していると思います。

この講演を機に、若手の方がますます実務の現場で活躍すること、そして都市研にも参加してくれることを願っています。

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