現代都市政策研究会2025年度新潟県湯沢町合宿感想

 

H.     S.  

湯沢町企画産業観光課主事 森下亮さん はUターン就職。川崎の大学出身。

湯沢町産業観光部企画観光課企画係長 田村翔さん は建設畑が長く東京区部西部の大学に行きました。

 ともに4月に異動してきました。企画係は3人であとの1人はふるさと納税担当です。小規模自治体ならではの守備範囲の広さです。それでも、2人も一緒に変わっちゃうんだと思いました。

 都市研では都市部のメンバーが多いのですが、人口8,000人程度の町行政を支えるにはなんでもこなす広い視野と行動力が必要だと感じました。

 森下さんは事前質問に項目ごとに回答を作ってくれました。彼の能力の高さと共に、誠実さを感じました。森下さんには、お試し移住施設「トーコー湯沢」も案内してもらいました。案内をしてもらい実際の行動力=足を運ぶ、住民や事業者の話を聞く、その声を上司に上げるができる人なんだなと思いました。

 田村さんの話では、町長とは年に1回趣味も含めて話ができる機会があるほか、案件があれば気軽にあって話ができるそうです。また、施設をまわって職員の声を聞くことや地域集会で住民の声を直接聞くこともやっています。町長はまずフットワークがよくないとできないなと思いました。都市部の自治体の長は、政策や組織運営の能力が求められますが、湯沢ではまず足が大事そうです。

 湯沢町は平成の大合併で独立を選択した町です。合併相手の財政力が低かったことも大きな理由ですが、国の政策に対しても地元の声を重視したことは注目すべきだと思いました。

 政策面では、5つの小学校を廃止して「湯沢学園」に統合したことが出色です。なんでもやるのでなく5つの保育園を統合した認定こども園、5つの小学校を統合した小学校、そして中学校を一体とした施設です。特に保育園を含めた保・小・中一体型の施設は、その後の移住者にとっての魅力となりました。移住政策の実際はきら星株式会社などが担っていますが、重要なインフラとして町の政策があったと言えます。

 きら星株式会社代表取締役 伊藤綾さん、にはコワーキングスペース「きら星BASE」で話を聞きました。

この場所はもともと保育園でした。そのためリモートワークの場所と春夏冬休みなどに子どものサマースクール的な親子で楽しむイベントをしています。ネットで見るとここを起点にリゾート地域を利用したイベントが盛りだくさんでした。

彼女は湯沢町では利用されなくなったリゾートマンションを活用した移住政策に取り組んでいます。これは受託事業が元ですが、「リゾートマンションは負の遺産じゃなくて定住用に使える資産だ」とさまざまなアイディアを出して実現していくバイタリティはすごいです。新潟の他の都市にも手を広げて就労促進事業など地域特性にあった事業展開をしています。このへんの柔軟さと地域の経営者などとの接点をつくる力は民間の特色を最大限に発揮しているなと感心しました。湯沢町の地元企業である不動産業との関係では良好なところと不信感を持たれている会社もあるとのことで、そうした難しさを踏まえ、湯沢から長岡、燕、三条、弥彦と事業拡大していくチャレンジ精神は学ぶべきです。

伊藤さんは事業を続けるうちにまだまだ変わっていくと思います。これが民間のよさなのだろうなと思います。

  ヒアリングをとおして得るところが多く、設定してくれた室地さんに感謝しています。また、参加したメンバーの質問力の高さにも驚きました。

 音羽屋旅館の食堂でコシヒカリのおいしい朝食を頂きました。食堂に家族団らんの様子やゾウのメルヘンチックな絵などが掲示されていて面白いです。   

よく見ると越後湯沢全国童画展の入選作品と書いてあります。これは湯沢町子育て教育部教育課教育係がやっている事業でした。童画画家の川上四郎(1889~1983)を記念して設けた賞で、もう30回も続いています。大阪や長野の作品も大賞を受賞しているので、広く知られていそうです。また、食堂の絵は何か月かで交代していくと仲居さんが教えてくれました。

    大賞1点賞金50万円買上賞~最優秀賞・奨励賞~佳作5点賞金2万円買上賞~入選40点程度入選証を出している。

    買上賞となる佳作以上の作品の著作権及び所有権は、主催者に帰属する。

    入選以上の作品の展示や、広報等のための出版物への掲載、主催者の発刊する刊行物への掲載の権利は、主催者に帰属する。

    作品は、作品展終了後、順次料金着払いで返却する。

などの特徴があります。

 これらは、湯沢町の目標、「君と一緒に暮らす町」にとても合っていると思います。①童画という誰にでも親しみやすい分野②郷土の画家を起点にしていること。③現実的には賞金を買上代金にして著作権も町に帰属させていること。④ここから、町内の旅館などに貸し出せること、になります。

 毎年開催するから返却した作品があっても全体では町所有の作品は必ず増えていきます。つまり、民間貸出可能作品が増えていきます。

 音羽屋さんで貸出料金を払っているかどうかは聞きませんでしたが、町民への一般公開が終わったあとの作品なので、町の原価としては無料~低額でよいと思います。

 作品展が全国からの知名度をあげ、買上品として資産を増やし、旅館など町民の利用資産としても役立っています。賞の維持や審査など苦労も多いと思いますが、とてもよい政策だと思いました。(以上)

コメント

このブログの人気の投稿

現代都市政策研究会2025年7月例会案内

現代都市政策研究会2025年9月例会案内

現代都市政策研究会2020年2月例会感想