現代都市政策研究会2022年2月例会感想

           議会制民主主義と日本の立法過程の特色 

K.        S.

 1 はじめに

 大曲会員の報告内容及び発表に使用した資料には、都道府県議会の全国組織に30年以上勤務した私にとっては懐かしさを覚える。勤務した経験をもとに感想をまとめたい。

2 国会について

 国会について奇異に思うことをいくつか記したい。

 1点目は、衆・参両院に常任委員会として設置されている予算委員会において国の予算とは関係のないこと(例・政治と金を巡る問題)が議論されることである。何故に、国の予算と無関係のことについて質疑を行うのか。案件に相応しい会議の場で議論すればよい。

 2点目は、委員会においては委員同士による議論が全く行われないことである。政府側と委員との間で質疑が行われるだけであり、多くの委員は定足数を満たすために出席しているようなものだ。故に、居眠りをしたり、委員会審議に無関係の雑誌等をこっそり読んだりする委員が出てくる。委員同士による議論が行われれば、各府省の役人は国会対応に多くの時間を割かれることがなくなり、政策立案に専念することが出来るようになる。これは霞が関の働き方改革につながる。

 3点目は、今の国会議員には論客と呼ばれる議員がいないことである。かっては、飛鳥田一雄、楢崎弥之助、大出俊等がおり、委員会審議は常に緊迫感があり、政府側が十分な答弁をしないと委員会審議が何日も空転することがあった。今の国会議員に、論客がいないのは議員の不勉強によるものなのか。国会議員が国政等に関し勉強する環境は充実している。それらを活用しないのは宝の持ち腐れである。

4点目は、「国会は社会の非常識」と言われることである。1つの例が、在籍日数が1日なのに、文書通信交通滞在費が月額で支給されることである。このような非常識なことがまかり通っているのは国会だけである。国会議員としての在任期間が長くなると国会の非常識に染まり、非常識を非常識と思わなくなる。そうした非常識に対しては、有権者である国民は是正を強く求めていくべきであり、そのためには絶えず私たちの意思を広く社会に発信していくことが必要である。

3 地方議会について

地方議会ついて奇異に思うことをいくつか記したい。

1点目は、国会と同様、委員会においては委員同士による議論が行われないことである。執行部と質問委員との間で質疑が行われるだけであり、「言いっぱなし」の印象を免れない。委員会審議を活性化させるための議会改革が求められる。地方議会は議員数が少ないこともあり、改革が実行しやすいと思う。

2点目は、地方議会議員の身分は「非常勤の特別職」と言われる。それなのに、常勤職員のように議員報酬の支給方法は月給制を採用するとともに、期末手当も支給されている。抜本的な見直しが必要ではないか。その他、何に使用したか不明な政務活動費については廃止を含めた見直しが必要である。

4 終わりに

 最後に、国会、地方議会を通して思うことを記しておきたい。

 国会議員も地方議会議員も、周囲から「先生」と呼ばれることである。初当選の議員も「先生」と呼ばれる。そういう私も長きに亘って議員のことを「先生」と呼んできた。何も考えることなく呼んできた。都市研の会員も、在籍する団体の議員をそのように呼んでいることと察します。議員は「先生」ではなく、「〇〇議員」で呼ぶべきだと思う。議員と職員とは、上下関係ではなく対等の関係にある。議員は、先生と呼ばれることにより、自ずと上から目線になり意識が市民から遊離していくことになる。

(以 上)

 

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