現代都市政策研究会2022年5月例会感想

 

「現場から考えるコロナ感染対策~その時、障害福祉の現場はどう対応したのか、対応せざるを得なかったのか」を聞いて

                                  K.         S.

今回社会福祉法人万葉の里の坂井事務局長からコロナ禍での障害者施設の対応について伺うことができた。法人は元々知的障害者の保護者等の団体が国分寺市に障害者センター設置を求め、平成14年にその運営を担う社会福祉法人として設立された。

同法人は①国分寺市障害者センター(職員53名、指定管理者)、②国分寺市障害者基幹相談支援センター(職員5名、委託事業)、③koco・ジャム(職員30名、独自事業)の3事業体制を担っている。

 同法人は感染症対策を整え、状況に応じたタイムライン表を作成している。2021年8月には指定管理者の障害者センター委託事業者職員から感染が発生し、13日間(内9日間開所日)閉館したとのこと。それにより一日65万円×9日=585万円の給付金が削減対象となり事業運営に打撃を受けたとのこと。またオミクロン株が全国的に広まる中、感染が同法人の事業で発生し、2022年2月8日から14日まで市と協議し閉館した。

 利用者の保護者にも感染が拡がると施設で支援する感染した利用対象者には通常とは市が用意した別の施設で支援し、6日間、夜間帯含め職員を配置することとなった。この間、事業部門を超えた対応、従事可能な職員の確保、管理職の夜間対応と壮絶な闘いがあった。病院の入院患者への治療中心の静的対応とは異なり、感染下でも日常生活し、生活介護が必要で動的な対応が必要であったかと思う。職員は防護服を着用し何とか支援を行ったとのこと。

 また、2020年4月の緊急事態宣言発出後、多くの事業を縮小、停止することとなり法人の本来的な事業実施が困難となる一方、事業部門と利用者、利用家族間のコミュニケーション不足から関係に支障が生じたことも反省することとなったとのこと。今まで経験したことのない感染症対応から国や自治体も手探りの中で示される指針にその都度応じ、障害福祉の現場は対応を迫れ、何とか対応しても完全に感染を未然に防ぐことは困難であった。そうした中で利用者やその家族に理解されないことは現場の当事者にとってとても辛いことであったかと思う。

まだ終わりの見えないコロナとの闘いは続くだろうし、あらたな変種株が生まれれば感染者数も戻ってしまうかもしれない。しかし、これまでの事情継続に向けた対応を引き続き行うことで何とか現場を乗り切っていただきたいと願う。

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