現代都市政策研究会2022年9月例感想想
「ケースで学ぶ議会・議員対応のきほん~こうしておさえる自治体政策実現の勘所」に参加して
K. K,
まず簡単に内容を振り返りたいと思います。まず1つ目の「首長のタイプ」では、首長の出身(職員、政治家、市民活動家等)に着目して分類し、その首長のバックグラウンドを理解することに焦点を当てました。続いて2つ目の「議員のタイプ」では地方議会の実情、議員や議会の力量や議員の評価の難しさなどを取り上げながらも、議会の役割は意思決定機関であることなどを確認しました。3つ目の「作る参加と決める参加」では都市計画マスタープランの策定を実例に挙げながら、市民の直接参加と市民の代表である議員との関係や計画策定過程の裏話なども伺いました。4つ目の「現場の大切さ」では理屈をこねるよりまず現場を見て考えることの重要性をごみ収集の事例を挙げて紹介頂くとともに議員と行政、市民(自治会)の力関係に触れながら、職員を首長の補助機関としてではなく行政職員を個人として捉えたときにどのような力関係が働くのかというお話を紹介して頂きました。5つ目の「議員と飲むことの是非」では、議会の答弁書を書くことだけが全てではないのではという問題意識で、最後は人と人との関係であり議員の人となりや考え、思いを知る手段の一つとして議員と飲むことも許容されるのではというお話でした。
著者の皆さまの長年の実践や経験に基づく考察であり大変興味深く勉強になる内容でした。中でも特に印象に残った話として、首長に政策案をもっていく際に1つの案だけだと政治信条などによりその案に賛成できない場合があるが、あらかじめ複数の選択肢の政策案を用意して政治判断の材料を用意して選べるようにすることが重要であるとの話がありました。適切な判断材料を示すことができるかが行政職員に求められる重要な力だということを知ることができ非常に勉強になりました。また、市民参加については、パブリックコメントの制度化により、パブコメが市民参加のアリバイとして使われるようになってしまい真の市民参加の取り組みが後退してしまったのではないかという問題提起についても大変興味深い視点であると思いました。様々な手続きがあるがそれが本来の目的のために機能しているのかなどは日々の業務の中でも考える必要があるという大きな気づきとなりました。また、市民(自治会長等)は職員個人の仕事ぶりもしっかり見ているため、議員が職員に何か無理難題を言ったとしてもその職員が日頃からしっかりと仕事をしていれば市民(自治会長等)が議員との緩衝材になるケースがあるとの話や最終的には首長や議員のためではなく市民の生活のために仕事しているという本質を忘れることなくしっかりとした仕事をすることの重要性についての話が強く印象に残りました。
自分が議会・議員対応を実際に行うようになるのはまだ先とは思いますが、いつかの時に備えて学んだ視点や姿勢を大切にしたいと思いました。本書は事例などの紹介しながら書かれているため読みやすく議員・議会対応の経験がない人が読んでも、政策とはこのように決まるものなのかと知ることが出来ると思いますので同年代(20代)の方にもおすすめしたいと思いました。著者の皆さま、参加者の皆さま貴重なお話をありがとうございました。
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