現代都市政策研究会2022年11月例会・まち歩き感想

         異なる趣を持つ巨大繁華街・池袋周辺

K.   S.

  東京には、新宿、渋谷、池袋といった巨大な繁華街があり、これらの繁華街は、人、金、物、情報等を吸い寄せるブラックホ-ルの様相を呈している。繁華街の一般的なイメ-ジは、集まった人が、買い物・レジャ-等のために金を消費したり、語り合う空間である。そこには、人々の熱気、喧噪、ストレスが充満しており、「おじさん世代」は疲れ果てるだけだ。

 11月例会において散策した池袋界隈には、巨大繁華街のイメ-ジを打ち破る趣がある。その特徴的なものは、四季を通じて色々なイベントが展開される大きな公園を備えていることだ。例えば、「としまみどりの防災公園」は、単にイベントを開催したり、家族等の憩いの場だけでなく大規模災害に対応する拠点ともなっている。

 この機能に大いに注目したい。関東地方では、今後30年以内に震度7クラスの巨大地震の発生確率が7割を超えるとされている。巨大地震発生の際は、想定外の事象が起こる。多面的な備えが求められる。公園を活用した備えは、素朴な発想に基づくものと言える。同公園は、①地下に飲料水、食料品、医薬品、日常生活用品の備蓄、②傷病者や救援物資の運搬を行うヘリポ-ト、③木造住宅密集地域からの火災延焼等の機能を備えている。こうした防災機能を高く評価したい。

筆者は、関東南部に居住するようになって半世紀近く経過した。この間、各地を歩いて来たが、繁華街の一角に防災機能を有する公園を持つのは池袋界隈だけと言ってもよい。新宿や渋谷には、繁華街に隣接した地域に防災機能を有する公園はない。

過去においては、「災害は忘れた頃にやって来る」と言われた。今は、「災害は忘れない内にやって来る」と言われる。今後、繁華街の大規模再開発を行う際には、多面的な機能を有する公園の整備も行うべきである。そのため、行政機関の関係者、地域住民等が一体となって公園の有する機能を認識するとともに、その整備に向けて知恵を出し合ってはどうか。

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