現代都市政策研究会2022年12月例会感想
「自治体の現場から自然保護を考える」を聞いて
H. S.
山田修氏の自然保護行政の講演は具体的で刺激になった。
都市研で2019年に行った小網代の森の事例は、改めて考えさせられた。
自然を保ち、よりよくするには地元のNPOの存在が必要だ。しかし、そのきっかけをどう起こすのか。ここでは、岸由二さんの活動があった。岸さんのような学者だけでなく、そういう人材や行動はどうして起きるのか。行政も、市民活動もともに問われていると思った。
仙石原湿原の保全のため私有地の買収をしたことも素晴らしい。そして、私的所有と自然の関係への問いもあるように感じた。この湿原は、自然そのままというのではなく、春には山を焼き、夏には下草狩りをする。こうして環境を保ってきた。それには薪や肥料などへの利用という生活スタイルがあった。人々の活動が自然に関わる土地だったのだ。けれども人々の生活が変わって自然と遠ざかったなかで、県外の土地所有者が出てきた。山を焼くときもその人の了解がなければならない。それは所有権のありようとしては当然だけれども、仙石原としては所有者全員の合意が得られなければ作業できないことになる。自然は声を持たないが、こういうありかたにはもっと別のルールができてもよいように思う。例えば、自然保全のための地域指定をした場合は、こういう共同の行為は合意を得なくてもなされるなどがあってよいと思う。所有権の制約にあたるため、これは法制化が必要だけれど。
その他、谷戸頭、谷戸の買収の事例も市町村と県との協力の好例だった。これは神奈川県三分の一、大和市三分の二で買収し、共有するという方法だった。持ち分はお金の比率で県三分の一。
東京都や他県でも参考になるのではないか。要は取得というよりも市への補助金なのだが、県としては「負担金、補助及び交付金」と分類すると財務が厳しいけれど、「投資及び出資金」として財産取得するなら予算化しやすいと思った。
動物では環境面では圧倒的にシカ対策が必要なこと。作物被害ではイノシシの影響が大きいこと。そして、その対策の戦力となる猟師の高齢化や少数化により、公的な管理狩猟が必要になっていることが言われた。私も自然保護行政をやっているときにまったく同じことを思ったので、全国でも同じだと思う。
山田会員に感謝します。
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