現代都市政策研究会2024年1月例会感想

「子育て支援施策の最前線~保育の現場から~」を聞いて

M.       K.

 三鷹市の清水氏より、最前線の視点から保育施策の取組や現場が抱える課題などを非常に踏み込んだ内容でご講義を頂きました。 

国、地方自治体は子ども・子育て施策のために、様々な施策に取組んでおり、様々なサービスが展開されており、保育サービスを始めとした子ども・子育て施策の充実が図られていることを認識しました。地方自治の観点からは、各自治体が特色ある施策を行い、より子育てしやすい街を目指すことは非常に大切なことであると思いますが、一方で財政力を持つ自治体がより充実したサービスを提供するという状況になっているように感じます。質疑の中でも、同じ国に住んでいるにも関わらず、自治体によってサービス水準が異なる状態になっており、どこまでをナショナルミニマムとして最低限のサービスとして保障するべきなのかということが話題に上がりました。財政力のある東京都及び東京都内の自治体がより良いサービスを提供する一方で、その水準のサービスを他道府県の自治体で提供するのは、簡単な事ではありません。人口の奪い合いの競争の中で勝ち組、負け組に別れ、本来国が目指していた少子化の克服には繋がらないという結果にならないかという指摘もあり、重要な視点であると思いました。

また、国が「異次元の少子化対策」としてこども誰でも通園制度の創設や児童手当拡充などに取組み、各自治体も莫大な予算を投じ、様々な施策に取組んでいるところですが、果たして、その施策が少子化の課題の解決につながっているのかを効果検証できているのかという課題があるのではないでしょうか。少子化に直面する我が国において、子ども・子育ての政策に注力するのは非常に重要なことであります。現に各自治体では医療費や給食費の無償化や各種給付の拡充を行っていますが、公費を投じる以上、施策の効果や結果に対しての説明責任という視点も重要なことではないかと思いました。

本日の講義の中では、国が創設を目指す「こども誰でも通園制度」については、月10時間という利用時間がニーズにあっているのかということや保育の現場が対応できるのかという課題があることが分かりました。また、保育の人材配置基準のギャップや人材確保、保育の現場を担う人材のレベルアップという面でも課題があることも分かりました。更に、子育て支援という面では、働き方の改革や社会の仕組みの変革も必要になるとの指摘もありました。質疑の中で、国は思いつき行政ではなく、国として取り組むべき構造的な課題の解決を図っていくことが必要であるとの指摘がありました。国は大きなビジョンを示し、構造的課題への解決を図り、自治体の現場の声を聞きながら制度に活かすとともに、ナショナルミニマムとしての子ども・子育て施策を担保する財源を手当てすることが求められていると思いました。その一方で市民の生活に一番近いところにある地方自治体は、地域の子育て力の向上や第一義的責任を負う家庭や親に対しての支援なども検討する必要があると思いました。

様々な示唆に富んだ子育て施策の最前線の貴重なお話をありがとうございました。

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