現代都市政策研究会2024年12月例会感想

 職員のメンタルヘルスの充実が求められる生活保護の現場

K.      S.

 国民の多くは、生活保護が憲法第25条の趣旨を具体化するための制度であることを知っている。しかし、その実務がどのように行われているかについては、行政機関の職員を除けばほとんど知られていない。私自身は、福祉の専門学校に在籍していた際に、生活保護の実務について担当講師から断片的な説明を受けただけで全体を理解するには至っていない。

報告を行った高橋会員は、生活保護を行う庁内の組織・人員、業務内容、他の部局との関係、事例紹介、今後の課題など生活保護の現状について全般的に触れた。実務の概要を理解する貴重な報告である。

 高橋会員の報告で私が深く受け止めたのは、「事例紹介」である。この中には、高橋会員を始め生活保護の実務に従事する職員の苦労・苦悩が集約されている。業務の中には、業務外と思えるものも多々ある。自治体及びその職員は、一種の「便利屋」と化しているのではないかと思う。近年、新聞の投書欄を読んでいると、自治体に何でもお願いしようとする意見が掲載されていることがある。自治体は、「便利屋」ではない。「業務として行うべきもの」と、「行うべきではないもの」との峻別がなされるべきだ。

そうでなければ職員は、疲弊してしまい、心身に不調を来すことは明らかだ。最近の

新聞報道によると公立学校教員の中には、心の病による求職者が増加し、2023年度は対前年度比580人増の7119に上り、過去最多となっている。深刻である。

 自治体職員の心身不調を防ぐ対策が急務である。これは、特定部署の職員を対象としたものではなく、庁内の全職員を対象としなければならない。組織のトップは、「職員は組織の貴重な宝」との認識を持ち、職員のメンタルヘルスの充実を図るべきである。

 高橋会員の職務に臨む真摯な姿勢に心から敬意を表するとともに、自身の体調管理にも十分に心がけていただきたい。


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