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現代都市政策研究会2026年6月例会案内

  テーマ「『自治体は何のためにあるのか』刊行の周辺から自治体と地方自治を考える」 講師 今井 照氏 ( 公益財団法人地方自治総合研究所特任研究員 ) 今井氏は、元大田区の職員。今は、福島大学の教授を経て、地方自治総合研究所の特任研究員をされています。この間、地方自治に深く関わられ、著書も多く執筆されています。 また、都市研にも 30 年前の 1996 年に「都市型自治体と産業政策 (1)(2) 」をテーマに講師としてお呼びしています。 その今井氏が、 2025 年 12 月に岩波新書から「自治体は何のためにあるのか」を刊行されました。著書では、自治体・地方自治の歴史について、 1975 年に刊行された松下圭一氏の『市民自治の憲法理論』にはじまる「自治体の発見」から現在の地方創生政策に至る 50 年を、 2000 年の分権改革を境に2つの時期に分け、後半においては、これまで求めてきた自治体・地方自治のあり方に逆行しているのではないかと問題提起をされ、「日々の暮らしを市民に保障する」という自治体のミッションをどう再構築していくかが述べられています。      どのような思いで書かれたのか、 6 月例会では今井氏から直接お話を伺います。自治体・地方自治の置かれている現況がつぶさに理解できると思います。是非、ご参加ください。 なお、例会参加にあたり、下記の文献を一読して頂けると幸いです。 ( 文責 室地隆彦 ) 参考文献 ➡ 自治体は何のためにあるのか/今井 照|岩波新書 - 岩波書店 1. 日時  2026 年 ( 令和 8 年 )6 月 28 日 ( 日 ) 午後 2 時~午後 4 時 30 分 2. 場所  三鷹駅前コミュニティセンター  4 階会議室 (2)

現代都市政策研究会2026年5月例会感想

  「自治体の福祉人材育成の現状と今後」を聴いて K.     M.   十文字学園女子大学の今井伸教授による講習を通じて学んだ内容を踏まえ、福祉行政における人材確保及び組織運営の課題について整理した。 現在、福祉人材は全国的に不足しており、自治体間及び民間との間で獲得競争が構造的に常態化している。特に東京都では奨学金返済支援や住宅支援等の財源を活用した確保策が進む一方、他自治体や社会福祉法人からの人材流出が継続している。また、東京都や特別区においても倍率は 1.5 倍程度まで低下しており、供給構造そのものの縮小が課題となっている。 今井教授は、福祉職志望者の裾野拡大が重要であり、高校・大学段階からの継続的な働きかけが必要であると指摘していた。その手法の一つとして大学推薦による採用制度が示され、福祉を専門的に学んだ人材を行政へ接続する仕組みとして一定の有効性があると考えられる。ただし、採用手段としての位置づけにとどまり、インターンシップ等を通じた職務理解の深化や採用後の育成体制と一体で運用することが不可欠である。 また、福祉行政においては知識・技術以上に価値及び倫理の共有が基盤であり、これが不十分な場合には離職や不作為等のリスクにつながるとの説明があった。横浜市の生活保護行政や小田原市の事案も、個人要因ではなく組織文化の問題として捉える必要があるという点は特に重要であると認識した。 さらにダニエル・ H ・キムの「成功循環モデル」では、成果の質は行動改善のみで生じるのではなく、関係性の質を起点として思考・行動・結果へと循環することが示されている。福祉現場のように業務負荷が高い領域では、心理的安全性や関係性の質の確保が組織運営の基盤になるという点を改めて認識した。 自身の約 15 年の自治体勤務経験においても、福祉現場の業務負荷と管理部門との認識差は依然として存在している。規制・給付・調達を同時に担う現場特性に対し、制度・予算中心の議論との間に構造的な乖離があることを踏まえ、現場実態を反映した人員配置や育成支援の重要性を再確認した。今回の講習を通じて、人材確保のみならず、育成・定着と組織文化の形成を一体的に捉える必要性を改めて認識した。