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現代都市政策研究会2025年6月例会案内

  テーマ  吉田忠彦「NPO支援組織の生成と発展-アリスセンターによる 市民活動支援の軌跡」( 2024 年有斐閣)―アリスセンターがめざした自 治型社会とアドボケート型の NPO の存立を考える- 講師   岡田 実会員 ( 公益社団法人神奈川県地方自治研究センター 研究員、元川崎市職員 ) 近畿大学の吉田忠彦さんは、 NPO の支援組織である「まちづくり情報センターかながわ(略称「アリスセンター」)」の 35 年間の活動を丁寧に追いながら、非営利組織における組織と人の関係について考察している。 アリスセンターは、正式名称は、「まちづくり情報センターかながわ」といい、 1988 年に神奈川県横浜市で任意団体として設立され、 NPO 法施行後、 1999 年には特定非営利活動法人となり活動してきたが、 2023 年7月 15 日に臨時総会にて解散が決議され、 35 年にわたる歴史の幕をおろした法人である。同法人は、その 35 年の歴史の中で、任意団体、有限会社、 NPO と法人形態が変化するともに、また、理事は、任期制限により定期的に交代し、事務局長も一定期間で交代をするなど「さまざまな人びとの思いや価値観、あるいはロジックが持ちこまれ、それを実現するための活動が模索され、実践されながら修正されたり、立ち消えになったりする」という変化もあり、アリスセンターは、「個人」と「組織」との関係を考察するうえで格好の法人であったともいえる。 私は、アリスセンター設立時からの会員で、解散する段階では、法人の副理事長を務め、解散事務意を担ってきた。 定例会では、吉田忠彦さん著書の書評を報告するとともに、「なぜ、アリスセンターは解散せざるを得なかったのか。その原因分析」、「アリスセンターの組織マネジメントに問題がなかったのか。」「残された課題、アリスセンターが生み出した『新たなロジック」は何なのか」について、私なりの考察を加えて発表します。 あらかじめ、下記の私の書評を一読いただけると良いと思います。HPからダウンロードできます。 ◎岡田実「『書評 吉田忠彦 NPO 支援組織の生成と発展 ─ アリスセンターによる市民活動支援の軌跡』─アリスセンターがめざした自治型社会とアドボケート型 NPO の存立を考える ─ 」  自治研か...

現代都市政策研究会2025年5月例会感想

     現場目線で捉えた振興策の数々                                                             T.      M.            総会後の 5 月例会では、「商店街振興における課題と解決策~商店会の意義と時代の変化に対応した支援策~」と題して、練馬区の澁谷 亮さんからお話を伺った。 澁谷さんが商工観光課で商店街振興に携わった 2018 年 ( 平成 31 年 ) ~ 2024 年 ( 令和 6 年 ) 間は、ちょうどコロナ禍前、コロナ禍、コロナ禍後の時期にあたり、この時期を 3 つに区分して、商店街・商店会にどんな課題や変化が起こり、それに対してどのような解決策に取り組んできたかが整理されての発表だった。 例えば、一つの個店や商店会の努力だけでは厳しい現状を踏まえ、コロナ禍後は個店経営者同士、または商店街同士が連携する事業の支援を開始している。 また、ワンオペで営業する個店が増える中で、イベントに参加するためにはお店を休業しなければならない。そのためイベントと店舗営業の両立を図るために、イベントの運営委託や補助金申請手続きにかかる費用も補助対象に加えている。 まさに、渋谷さんの発表の副題にある「時代の変化に対応した支援策」を垣間見せてもらった。 また、渋谷さんの発表の中で感じたことが 2 つあった。 ひとつは、商店街を地域のにぎわいの創出、地域コミュニティの醸成、防犯・安全・安心への寄与などの観点から、とても重要な存在と捉え、大事にしていることである。 ( 副題にある「商店街の意義」 ) そのため、お金 ( 補助金 ) だけではなく、人 ( 地元事業者、ボランティア団体、 NPO 法人など ) 、もの ( 区が所有するもののイベントへの貸与 ) 、情報の提供 ( 区内好事例の情報提供など ) など多角的に区がコーディネーター役として支援を担うべきと話をされていた。 もうひとつは、質疑の中でもあったが、「様々な施策のアイデアはどこから出てくるのか」との問いに、「担当地区がエリアに分かれおり、エリアのイベントは見るようにしていること。また役員さんの店に立ち寄るな...

現代都市政策研究会2025年度総会&5月例会案内

 現代都市政策研究会2025年(令和7年)度総会ならびに5月例会開催のご案内 現代都市政策研究会総会ならびに例会を下記の通り開催いたしますのでご出席下さい。 ■日時  20 25 年(令和 7 年)5月2 5 日(日) 午後 1 時 30 分~午後4時 30 分 ■場所  三鷹駅前コミュニティセンター4階 会議室 (2)    ( 1 ) 202 5 年 ( 令和 7 年 )度総会    午後 1 時 30 分 ~午後2時 15 分   ( 議題 ) ①   2024年(令和6年)度活動報告、決算報告 ②   2025年(令和 7 年)度活動計画案、予算案 ③ 2025年(令和7年)度役員選出 等 ※当日、総会に欠席された方については、議長に一任して頂いたものとさせて頂きます。 ( 2 ) 5月例会    午後2時 15 分~午後4時 30 分 テーマ 「商店街振興における課題と解決策」 講師 澁谷 亮氏 ( 練馬区職員・ ( 派遣 ) 東京都総務局行政部区政課都区財政調整担当) 住民が、生活に必要なものを揃える場であった「商店街」は、時代の流れとともに、スーパーやコンビニエンスストア、大手チェーン店などが進出し、変化してきている。  「昔ながらの商店街」の姿は、徐々に減ってきてしまっているが、一方で、商店街の会員店舗が一丸となって新しいことに挑戦したり、個性的で魅力ある個店が出現するなど、時代の変化に合わせながら、商店街周辺地域の賑わい創出に取り組む姿が見られる。  そして、行政は、商店街と一定の距離感を保ちながらも、このような積極的な取組みを後押しし、連携を深めることで、地域の活性化を図っている。  今回は、練馬区で、コロナ禍を挟んだ6年間、商店街振興施策に携わってきた経験を基に、行政の商店街支援は、どのようなものなのか、課題への対応はどのようにしていたのか、今後の商店街はどのように変化していくのかを発表する。 ( 文責 澁谷 亮 )

現代都市政策研究会2025年4月例会・まち歩き感想

  まち歩き「成城をめぐる〜住宅地開発の歴史〜」に参加して                        M.              O.     4 月 27 日は、よく晴れて、まち歩きには最適な気候であった。矢野勝巳さんの案内で成城の街を歩いた。矢野さんは、沿線文学研究家として、文学者たちの足跡を研究されており、柳田國男旧宅後や大江健三郎邸を訪ねるコースであった。 成城の街並みは、銀杏の街路樹や邸宅の生垣などが整えられ、つつじが真っ盛りであった。この街並みがつくりあげた第一人者は、成城学園の主事で後に玉川学園を創立する当時の主事、小原國芳である。 1925 年(大正 13 年)に成城学園が学園町として、校地のみならず、建設資金調達のため付近の土地 2 万坪を購入し宅地分譲を行ったことが宅地形成の始まりで、住宅地の街割りや街路、そして景観保全の憲章が定められることになる。 次の功労者は、成城に住んだ人びとである。今回は、旧猪俣邸と旧山田邸を訪ねた。旧猪俣邸は、 1967 年(昭和 42 年)に(財)労務行政研究所の理事長を務めた猪俣猛氏ご夫妻の邸宅として、建築家吉田五十八氏により建てられた武家屋敷風の趣がある数寄屋づくりである。旧山田邸は、 1937 年(昭和 12 年)に建築された楢崎定吉氏の住宅でその後、山田盛隆氏が購入し住まいとした洋風の住宅である。いずれも、世田谷区に寄付され、(一財)世田谷トラストまちづくりが管理運営し、一般公開がされている。これら邸宅以外にも、多くの住宅は、生垣や庭木を整えるなど、高級住宅地としての成城の街並み景観の形成に貢献をしている。 そして、現在においても重要な役割を果たしているのは、「(一財)世田谷トラストまちづくり」の存在である。この法人は、世田谷まちづくりセンターとせたがやトラスト協会が合併してできた法人であるが、 1980 年代のバブルの時代、バブル崩壊以降も、世田谷区の住民参加のまちづくりや緑地、文化財の保全に貢献をしてきた。現在においても、ボランティアの方の参画により世田谷の街並み保全やまちづくりに大いに貢献している様子を実感することができた。 今回のまち歩きの企画をしていただいた矢野さんに感謝するととも...

現代都市政策研究会2025年4月例会(まち歩き)案内

 まち歩き「成城をめぐる~住宅地開発の歴史~」 案内 矢野勝巳会員(沿線文学研究家、元三鷹市役所職員)  成城は、野川と仙川に囲まれた台地上の場所であり、大正末期から昭和初期にかけて開発されました。有名俳優や作家が多く住んでいたことそして成城学園を核としたまちづくりでも知られています。 この地域の土地と家屋が2軒、世田谷区に寄贈され一般公開されています。そこで、住宅開発地の中心である駅の北側付近を歩くと共に公開された家屋を見学することにより、住宅地開発の歴史を辿ります。  さらに台地の西側を下って野川沿いを歩き、湧水を含む水と緑に囲まれたもう一つの成城を体験します。  なお、旧猪俣邸・世田谷トラストまちづくりセンター・旧山田邸は、(一般財団法人)世田谷トラストまちづくりが管理運営しています。東京郊外都市の貴重な歴史的環境の保存と活用の実例を見ます。 1 日時 2025年4月27日(日) 13:30~16:30  振り返り会(懇親会)17:00~18:00 4月24日まで申し込み 2 集合場所と時間 成城学園前駅(小田急線) 中央改札口前 13:30 3 主な行程 成城学園前駅 ↓ 1柳田國男旧宅跡(現・緑陰館ギャラリー) ↓ 2旧猪俣邸(室内見学あり、吉田五十八設計の日本家屋、無料) ↓ 3大江健三郎邸周辺 ↓ 4発明の杜市民緑地 ↓ 5世田谷トラストまちづくりビジターセンター(室内見学あり、無料) ↓ 6旧山田邸(室内見学あり、洋館・世田谷区指定有形文化財、無料)    (徒歩約4キロメートル、高低差あり)

現代都市政策研究会2025年2月例会感想

 「持続可能な水道を考える~神奈川県内の水道事業を例に~」を聴いて H.  K. 水道料金の値上げに不満を持つ住民は多い。しかし、値上げに反対する前に、なぜ値上げするに至ったのか。支払っている水道料金は一体何に使われているのか。その経緯を住民自らが知ろうとする気持ちが大切なのではないかと思った。  最近ニュースで取り上げられた陥没事故。水道事業は目につきづらく、身近にありすぎて、意識が向きづらい。そのため、今回の事故を自分ごととして捉え、今を生きる私たちが将来世代のためのインフラ投資を積極的に行っていかなくてはならないと感じた

現代都市政策研究会3025年2月例会案内

 テーマ 「持続可能な水道を考える〜神奈川県内の水道事業を例に~」 講師 山田 修氏(神奈川県議会局副局長・兼総務課長) 水は日常生活や産業活動にとって欠かせないものであり、あって当たり前の存在となっている。それだけに水道水を供給する水道事業は安定して営まれなければならない。 自治体の水道事業は公営企業の一つであり、一般行政部門とは異なる組織・財政運営のもとで、独立採算制により企業的経営が行われている。 昨今の人口減少、施設の老朽化、料金の上昇といった現状を把握しつつ、報告者が経験した神奈川県営水道での取組や1年前の能登半島地震を振り返りながら、私たちの水道はどのように持続可能となるのかを考えていく。(山田 修) 1.日時   2025年(令和7年) 2月23日(日) 午後2時から午後4時30分 2.場所  三鷹市市民協働センター1階 ミーティングルーム(JR三鷹駅南口から徒歩で15分程度かかります)   ※いつも利用している三鷹駅前コミュニティセンターについては、2月23日(日)が休館のため会場が変更になっていますのでご注意ください。